どうして、いまなお多くの小学生の保護者が、わが子の進路として、住まいの近くの「公立小学校→公立中学校」という一般的な進学ルートを選ばずに、中学受験をさせて中高一貫校へ進学させるという選択をしているのでしょうか。当初は、「何も中学から私学に行かせなくたって…」と疑問に思うご家庭があっても、それは当然のことかもしれません。

実際には、この2~3年、長引く不況や少子化のもとで、私立中高一貫校の受験者数は、やや減少期を迎えています。それでも、相変わらず「14~16パーセント」という高い中学受験率が維持され、この2013年に至る数年の間、首都圏では平均して「6・5人に1人~7人に1人」の小学生が、実際に中学受験にチャレンジしているのが現状です。

とくに東京都の23区内や、神奈川県の横浜・川崎市、千葉県や埼玉県の東京寄りのエリアでは、さらに高い中学受験率がいまも維持され、毎年、1月から2月にかけては、小学校6年生のクラスの大半の生徒が、中学受験に挑むというケースが少なくありません。

私立の中高一貫校は、穏やかな校風に好感が持てるとか、あるいは大学への進学実績が良いとか、教員が熱心とか、環境・施設が恵まれているといった、多くのメリットが指摘されることがあります。

何よりも、私立中高一貫校では、創立者が掲げた教育の理想(=独自の教育理念)のもとに、その理念に賛同し、独自の校風に共感を寄せる家庭の子女が集うことで、共通の価値観や一貫した方針を持つ教育環境が形成されることに大きな価値があるといえるでしょう。

そのなかで、それぞれに個性的な教育プログラムを工夫し、新たな時代に求められる力を、中高の6年間で育ててくれようとしているのが、私立中高一貫校の教育と考えてよいはずです。
人生のうち最も多感で成長著しい、12歳から18歳の6年間。人間性の基礎は、この6年間で形づくられるといっても過言でありません。

その中高6年間のなかで、学力的にも人間的にも大きく成長するためには、何より「中学1~2年の間が大事」といわれることがあります。たとえば、この中高生活のスタートラインにあたる「基礎期」に、より良い教育環境で学校生活に馴染み、わが子が伸び伸びと、しかも自立的に学びながら、友達は先生と一緒に楽しい学校生活を送ることができれば、その時期に身につけた基礎力や生活習慣が、その後の、中学3年~高校1年の「充実期」や、高校2年~3年の「発展期」に大きく成長するための、確かなベースになってくるのです。

この大切な時期に、高校受験で分断されることなく、一貫した考えのもとで個々の生徒を見守り育ててくれる私立中高一貫校では、生徒自身がじっくりと自分と向き合い、将来の進路を含めた自分自身の生き方を考えるための、時間的ゆとりも生まれてきます。

まさに、こうした一貫性、継続性を持つ教育環境ならではの魅力や利点が、多くの小学生の保護者が、あえてわが子の進路に私立中高一貫校を選ぶ、最大の理由といえるのではないでしょうか。

(当センター所長/北 一成)