日経BP社刊『日経Kids+偏差値のカラクリ』定価本体933円+税

日経BP社刊『日経Kids+偏差値のカラクリ』定価本体933円+税

少し遡りますが、2013年12月16日に日経BP社から発行された、日経ホームマガジンMOOK『日経Kids+偏差値のカラクリ』という本に(陰ながら)企画協力させていただきました。

この本の企画提案者であり、メインライターでもある友人のジャーナリスト・鈴木隆祐さんのご提案により、中学受験に関わる者としては、あまり歓迎しかねる切り口ではありましたが、この本が伝えていることを通して、少なくとも中学受験の世界では「たかが偏差値、たかだか偏差値」ということを感じていただきたくて、全体構成のための情報提供をさせていただきました。

取材にご協力いただいた私立中高一貫校の先生方には、あらためてお礼申し上げます。

中学受験の世界では、それぞれの志望校合格判定のために、1980年代なかばから(おそらく日能研の公開模試が最初に)偏差値というものが導入され、それがまるで「学校の評価を表すもの」という間違った理解が世間に広がってしまったため、かねがね「そうではありませんよ」「偏差値は各校の入試難易度を示すひとつの目安に過ぎませんよ」という意味を込めて、「たかが偏差値、されど偏差値」というメッセージを、偏差値を算出する側になってしまった塾業界、模試業界からも発信してきました。

いまでも、そうした事情や偏差値算出のメカニズムを詳しくご理解いただいている方々には、これは当然のこととhennsachi_karakuri_02して受け止められていることと思います。しかし、多くの小学生の保護者や、塾関係者にとっては、そういう意味では受け止められていない面もあるようです。

首都圏の中学受験生数が前年より若干減少し、各校の「入試結果偏差値」が算出~公表される時期のいまだからこそ、あらためて「たかが偏差値、たかだか偏差値」と(自戒を込めて)大きな声で訴えたいと思います。

本書『偏差値のカラクリ』は、そうした受験市場のメカニズムをご理解いただき、そのうえで、そのメカニズムを逆手にとって、わが子にとっての「ベストの受験校選択をめざす」中学受験生と保護者にとって、役に立つヒントが散りばめられていると思います。

それにしても、中学受験の「偏差値算出」の厳密かつ一面では脆弱な(論理的)メカニズムは、担当なさった編集長氏には、最後まで本質をご理解いただけなかったかもしれません。大学入試や高校入試のような大規模な模試が存在しない中学入試の世界では、各校入試の偏差値は「ほんのわずかな有効性」しかありえない、というのが筆者の持論です。

そうご理解いただいたうえで、「うまく偏差値を活用してやろうじゃないか!」というスタンスに、すべての保護者と塾関係者がなっていただければ、きっと中学受験の世界も楽しいものになるのではないかと思っています。

(日本Web学校情報センター所長/北 一成)