ここでもう一度、私立中高一貫校と公立中高との違いにあらためて目を向けてみましょう。

小学校を卒業する段階で、あえて公立中学校という既定の進路から踏み出して中学を受験し、私立中高一貫校へ進学することの価値は、何より私立中高一貫校だからこそ得られる「人間関係」にあるという見方があります。

現在の小・中・高と続く「6・3・3制」の公立学校教育のもとでは、12歳から18歳という、人生で最も多感な時期に、中学校と高等学校という、3年間ずつに分断された教育環境で過ごすことになります。

しかし、一方の私立中高一貫校の6年間では、それとは違った貴重な出会いができ、6年間一貫の継続した環境ならではの親密な人間関係を築くことができます。この多感な成長期に、中高の6年間をともに過ごした友人や師弟との人間関係が、一生の財産になることはいうまでもありません。
さらにクラブ活動でも6年間一緒にがんばった仲間たちとの関係や、そこで共有できた経験は、人生で最も大切な思い出となり、卒業後も励みとなるものです。

また、学校行事やクラブ活動、学校生活のサイクルのなかで、自分自身を中心にして、上下5年間にまたがる先輩・後輩との出会いや、一緒の活動ができることも、中高一貫校ならではといえるでしょう。まだ入学して間もない中1の生徒にとって、各自の目標とする進路に向けて努力する高3生や、いろいろな行事やクラブで中心となって活躍する高校生の先輩の姿を間近で見られることが、良い意味での刺激や励みになります。

高学年の生徒にとっても、かつて自分たちの面倒を見てくれた先輩のように、低学年の生徒に良い影響を与えられるよう自身も努力することが、人間的な成長のきっかけにもなります。
そして何より、こうした友人や、先輩・後輩は、誰もがその学校への入学を希望して、ひとつの私学に集った、共通の思いや意思を持つ仲間=同窓生です。

そして、それぞれの私学に対するこうした思いや期待は、生徒や先生だけではなく、わが子をそこに通わせる保護者にも共通のものです。つまりは、そうした私学に関係するすべての人々が、その私学のより良い伝統や校風を守り育てていく仲間となります。

この点は間違いなく、地域に根ざした役割を持つ公立中学校とは違った、私立中高一貫校ならではの特徴といえるでしょう。

(当センター所長/北 一成)