2020年夏季五輪の開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会が、去る9月7日(日本時間8日)にブエノスアイレスで行われ、開催都市に東京が選ばれた。1964年の東京五輪の開催以来、56年ぶりとなる2回目の日本開催という嬉しいニュースに、多くの人が沸いた。経済効果の試算も大変大きなものだという。

この決定のニュースを見て、最初に思ったことは、この東京オリンピックを契機に、あるいはひとつの焦点として、多くの私立中高一貫校が、開催地(ホスト国)である日本の若者が、この機会に実際に世界の人々と交流し、五輪の祭典のなかで、何らかの役割を持てるような「仕掛け」をするに違いないということだった。誰もが知っているように、オリンピックはすなわち「平和の祭典」。経済や商業の動きと密接に結びついていることはもちろんだが、何よりもコンセプトはそこにある。

こんな貴重な機会を、生徒の成長のために生かさない私学はないだろう。現に49年前の東京オリンピックでも、都内の多くの私立中高の(とくに体育の)先生方は、大会期間を通して、ボランティアで駆り出され、様々な役割で協力をしたという。きっと多くの私学と、それらの学校の有志の生徒は何らかのお手伝いをしたに違いない。かつて聖学院の校務部長を務め、入試広報も担当されていた真田先生がそんな話をしていたことを思い出した。

また、三輪田学園和洋九段女子など、都心の一等地にある(決して校地の広くはない)私立女子校に、当時からプールや立派な体育館があったのも、1964年の東京五輪開催時には、各国の選手団に練習会場として提供したというエピソードと無縁ではないだろう。
(できれば、かつての東京五輪で、何らかの役割を果たした私立中高をアンケートで調査して『進学レーダー』(みくに出版)あたりで特集してくれると嬉しいなあ…)

そして、いまは当時よりも(さらに7年後は現在よりも)、中高生であってもボランティアで大きな役割を担うことができる時代になっているし、その環境や技術も整備されている。英語力を生かして、案内役をすることもできるし、ノートやタブレットPC、携帯端末やSNSを活用して、中高生目線でのニュースを発信することも可能だ。

そんなことを思うと、何だか7年後が楽しみになってきた。私立中高一貫校と、その在校生たちは、いったいどんな活躍を見せてくれるだろう? もちろん、私立中高の在校生のなかには、選手としての活躍を見せてくれるケースもあるはずだ。

7年後の2020年といえば、2015年の中学入試に挑む、現小5の子どもたちが、ちょうど高3の夏ということになる。大学受験を控えての忙しい夏ではあるが、私たち大人や、その子どもたちの保護者が驚くほどの活躍を、そのときの私立中高生(現在の小5以下の子どもたち)は見せてくれることと思う。

きっと多くの私立中高の先生方や関係者は、7年後に向けての、そうした「仕掛け」を考え始めているはずだと思っていたら、すでに発表翌日の9月9日の段階で、中村中高校長の梅沢辰也先生は、同校の校長ブログ「チャンネル校長室」で、そうしたことを発信されていた。さすがだと思う。

そういえば、五輪招致のための日本のプレゼンで有名になった、滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」を聞いたときに、最初に思い出したのが、中村中高で各種の公開行事に生徒が自主的に参加・協力するときに大切にしている心がけが、この「おもてなし」の心だということだった…。やはり7年後が大いに楽しみだ。

(日本Web学校情報センター所長/北 一成)