聖徳学園

最寄りの「武蔵境駅」から徒歩3分の聖徳学園中高。

11月3日(日)には、首都圏模試センター「6年生統一合判テスト」第5回が、首都圏の私立中高一貫校24会場で行われた。そのうちの聖徳学園(東京・武蔵野市・共学校)会場で行われた父母会で筆者も講演をさせてもらう機会を得て、午前・午後の父母会場で、6年生の保護者向けに、今回のテーマである「わが子のベストの併願作戦の組み立てと、過去問対策のポイント」についてお話をさせていただいた。JR中央線・西武多摩川線「武蔵境駅」南口から徒歩3分と、最寄り駅からのアクセスは、数ある私立中高一貫校のなかでも指折りに便利な聖徳学園。この会場に、午前は約650名、午後は約170名の6年生男女の受験生と保護者が集い、入試本番も近づくこの時期の手ごたえや課題を探るための模試に挑んだ。

今回お伝えしたいのは、その父母会に続いて行われた、会場校である聖徳学園の学校説明会の様子だ。首都圏模試の6年生対象「統一合判」テストの各会場では、受験生が模試を受けている間に、その会場となる各私立中高の「学校説明会」が行われる。会場によっては、その説明会の前に、首都圏模試が派遣した講演者からの「父母会」があり、今回はその後者の形式で、午前と午後に、それぞれ「父母会」「学校説明会」が行われた。

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大学入試について話してくれた西岡先生。

通常は、その「学校説明会」では、その私学についての学校紹介の話がメインになるのだが、聖徳学園では、あえてそこに工夫を加え、小学生の保護者が、この先のわが子の教育を考えていくうえで参考になるテーマを選んで伝えたいという趣旨で、自校のアピールとは違った、いわゆる「教育講演会」を行ってきた。

今回は、進路指導を担当する西岡泉先生からの、現在~今後の「大学入試の変化と展望」について、実際に現在の中高生にとっての大学入試がどう変化し、その先にどうなっていくのかという展望まで、小学生とその保護者の視点で考えていくために非常に参考になるお話だった。

そのお話のポイントをまとめると以下のようになる。
1. 12歳人口が減っているのと同様に、大学受験人口も減少を続けていて、1992年の205万人から、2012年には119万人へと、58%(42%減)まで減少した。
2. 逆にその間、2012年には大学数が728校(20%増)まで増加した。
3. その結果、いわゆる大学収容率(=大学入学者/大学募集定員)は92%まで高まり、「選り好みしなければ全員大学に入れる」時代になった。
4. そういう背景もあり、ある調査によると、大学受験を控えた高校3年生(18歳)の家庭での勉強時間は、20年前には2時間だったのが、2006年には1時間に減った。
5. 一方、OECDのPISA試験の結果では、2000年には数学が第1位だった日本の15歳の成績が、2009年には9位まで下降した。
6. 現在の小学生の保護者は、かつて1979年に「共通一次テスト」が導入された後、それが現在の「大学入試センター試験」に変わっていった頃に大学入試を経験した世代。当時は、国公立大学1校と私立大学1~2校だけ受験するのが一般的な形だった。
7. その後、慶應義塾大学藤沢(SFC)が開校し、2000年頃から「AO入試」を導入したのを皮切りに、各大学でAO入試が拡大した。現在では高3の7月からAO入試説明会が始まり、早ければ10月半ば~翌年1月にかけて結果が出る、このAO入試で、実質的な大学入試期間が前倒しになり、ここで大学入学者の約10%の合格が決まるようになった。
8. AO入試の拡大と並行して、「推薦入試」の形も年々多様化し、昔ならば「指定校推薦」しかなかった時代とは違って、一般推薦、公募推薦も含めた多様な推薦入試で、大学入学者の約40%が決まるようになった。
9. 同じように、昔は国公立大学受験者向けだった「大学入試センター試験」を、現在ではほとんどの私立大学が採用するようになり、その結果で(表面的な募集定員よりも多くの)合格者を出すようになった。実質的にここでも大学入学者の約10%が決まるようになった。
10. 上記7・8・9の動きにより、現在では2月から3月にかけての私立大学の一般入試と、国公立大学の前期・後期入試での受け入れ枠は、大学入学者全体の約30~40%に過ぎなくなり、大半の大学受験生が、1月までに大学入試を終え、その後は勉強しなくなった。
11. 従来は、学生時代で最も勉強に打ち込むはずの高3の冬に「勉強しない」で済んでしまう受験生が増大したことにより「学力の低い」大学生が増加し、これを危惧した教育改革国民会議から「大学入試センター試験の廃止」が提言された。遅くとも2018年には廃止とされているが、少なくとも現在の小学生が大学入試を迎える時には確実に「センター試験」は廃止される。
12. 廃止された「大学入試センター試験」に代わるものとして、高1までの学習範囲を高2段階でテストする「到達度テスト(基礎編)」が導入。高校在学中に何度でも受けられる形になる。
13. もうひとつ、「大学入試センター試験」を、かつての「共通一次試験」並みにバージョンアップ(レベル?)した「到達度試験(発展編)」も合わせて導入。
14. 仮に12・13の「新テスト」が導入されたとしても、国公立大学の二次試験はなくならない(入試の独自性の担保?)だろうという予想も一方にある。
15. いずれにしても、上記12・13の「新テスト」が導入されると、それにも十分対応できるのは、すでにこれまで中高で継続的な独自のカリキュラムを組み立て、実践してきた私立中高一貫校ということになる。この点も見逃さないことが大事。

どうだろう。上記の観点は、いま中学受験に挑む小学生の保護者や、中学受験の関係者にとっても、大いに参考になる話ではないだろうか。これは日頃から、大学受験に向けて中高生の学力を育て、進路指導のノウハウやデータを蓄積し、毎年の卒業生を大学に送り出してきた私立中高一貫校の先生方ならば、当然持っている情報や視点から導き出されたポイントだ。

しかし、目の前に中学受験を控えた小学生の保護者にとっては、意外にそこ(いまから7年後の、わが子が中高を卒業する時の大学入試の変化)まで意識が届かず、見落としがちな点でもあるかもしれない。それだけに、こうした模試の場で、わが子がテストと向き合っている間に、親は私学の先生方のお話から情報を得て、貴重な“気づき”を得る。そういう側面も、模試を十分に活用するための、ひとつの大切なアクションということができるだろう。

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いまの子どもたちには「自分に自信を持てるように」
することが大事と話してくれた校長の伊藤先生。

そして今回の聖徳学園中高の説明会場では、この後、同校校長の伊藤正徳先生から、私立中高一貫校の教育や進路指導の展開の一例として、聖徳学園の実践例が紹介された。そこで伊藤校長は、中高6年間の教育についての簡潔な説明に加えて、いまの子ども(中高生)たちには、「自分に自信を持てるようにしてあげること」が最も大切だと強調した。

それを実践する同校のスタンスを具体的な例とともに紹介してくれたことが、多くの保護者の共感を呼んだのか、その後に用意された個別相談の席に訪れた保護者は、これまでになく多かったという。今回のような情報と貴重なお話を提供してくれた、聖徳学園中高の先生方に感謝申し上げると同時に、その話を的確に受け止め、リアクションを起こした多くの保護者の見識と、わが子を思う気持ちに賛辞を贈りたい。

こうした貴重なお話を、首都圏模試の説明会で提供してくれている私立中高一貫校は、今回の聖徳学園のほかにも、工学院大学附属(東京・八王子市・共学校)富士見丘(東京・渋谷区・女子校)などがあるという。そうした模試での、教育に関する多様な情報を得られる場を、より多くの保護者が、わが子の学校選びに大いに活用していただくことを願いたい。

(日本Web学校情報センター所長/北 一成)